ステンレスの特徴

ステンレス鋼とは国際規のISO規格で炭素を1.2%(質量パーセント濃度)以下、クロムを10.5%以上含む鋼と定義されている鉄(Fe)を主成分とした合金鋼です。一般化した材料であり、耐食性(錆び)に強い、加工性が高い、耐熱性が高い、強度が強いというステンレスの特徴が広く受け入れられたからだと思われます。

特に耐食性に強いという特徴から、屋外でよく使用されています。主な特徴として「耐食性に強い」、「耐熱性が高い」、「強度が強い」ことが挙げられます。

ステンレス鋼の中にも合金の比率や施す熱処理によって様々な種類があり、大きく分けてマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系の3つに大別されます。
マルテンサイト系は硬度が高く、強度、耐熱性に優れているもので、SU410、SU403にあたります。
フェライト系は加工性、耐熱性が高く、価格が安いもので、SUS430にあたります。
オーステナイト系は加工性、耐食性に優れているもので、SUS304にあたります。

ステンレスの種類とマシニング加工におけるポイント

ステンレスの種類とマシニング加工のポイントを説明いたします。

マルテンサイト系

熱処理(焼入れ)によってマルテンサイト組織が形成され、硬度が高いステンレス鋼になります。
炭素が少ないため他と比べると、耐食性には劣り、性質から強度や硬度が求められるものや高温にさらされる製品によく用いられます。
用途的には刃物やノズル、タービンブレード、ブレーキディスクなどに使われることが多く、マルテンサイト系にはSUS410やSUS403があります。

フェライト系

ニッケルを含まないクロム系ステンレスで、硫黄(S)を含むガスに対して高温環境下で腐食しにくく、オーステナイト系の欠点である塩化物による応力割れが発生しないという特徴があります。
主なフェライト系ステンレス鋼はSUS430で、フェライト系は価格が安く、溶接性も悪くないため800℃までの炉部品や化学設備などに利用されます。

オーステナイト系

オーステナイト系ステンレス鋼は他の2種類と違い、唯一のクロムニッケル系のステンレス鋼です。
ニッケルとクロムの2つの成分が添加されることによって、酸化膜の密着力が上がるためサビに強く、耐熱性も上がります。
応力腐食割れ感受性が高いという欠点はありますが、添加元素によって改良されている種類もあります。
主なオーステナイト系ステンレス鋼はSUS304とSUS316で、耐食性、加工性、溶接性においてマルテンサイト系、フェライト系と比較して優れているため最も利用領域が広いステンレスとなります。

ステンレスのマシニング加工を行なうには、切れ味の良い工具の選定、キズ・バリを抑えるパス作成がポイントとなります。