SUS430の特徴

SUS430とは、フェライト系ステンレス鋼に分類されるステンレス鋼の一種です。

SUS430には大きな特徴が2つあり、1つ目が購入単価が安くで手に入ることが挙げられます。
その理由としてはステンレス鋼のコストに左右する要素であるニッケルが含まれていないためです。
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304やSUS316)などはニッケルの価格変動の影響を受けることがあることに加えて、原材料や製造プロセスも異なるため、SUS430が含まれるフェライト系ステンレス鋼は生産コストも安価となります。

大きな特徴の2つめは磁性があることが挙げられます。
そのため、磁気を利用する製品やアプリケーションにおいて使用されることが多く、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304やSUS316)などが対応できない製品に多く使用されております。

磁性を利用した製品例

①磁気センサー
 磁性材料を検出するセンサーには、SUS430の磁性が活用されております。磁気センサーは、位置検出や速度検出、流体レベル検出など、さまざまなアプリケーションで使用されています。

②電磁調理器具
 電磁調理器具(IHクッキングヒーター)では、磁性のある調理器具が必要です。そのため、SUS430製などの磁性のある鍋やフライパンでしか使用ができません。

③磁気モーター
 磁気モーターでは、磁性材料が回転子やステーターに使用されております。メインの磁性は環電流によるものですが、SUS430の磁性は、このようなモーターにおいても活用されております。

SUS430のマシニング加工のポイント

SUS430は比較的やわらかい素材のため、過剰な加工負荷をかけると材料の変形や工具の損傷が発生することがあります。そのため、適切な送り込み量と切り込み量を選択し、加工負荷を管理することが重要です。
また、加工中に発生する摩擦熱やチップの排出によるトラブルを防止するために、切削油を使用することがトラブルを抑制いたします。