<目次>

インコネルとは?材質と用途

ハステロイとは?材質と用途

インコネルとハステロイの違いとは?

当社の難削材の加工事例

インコネル・ハステロイの切削加工なら当社まで!


インコネルとは?材質と用途

 まず、インコネルについてその材質と用途について解説します。

インコネルとは?

 インコネル(英:Inconel)は、鉄、クロム、モリブデン等を含んだニッケル超合金です。名前は、インコネルを開発し商品化した、アメリカに本社を置く世界的なニッケル合金メーカーのスペシャル・メタルズ・コーポレーション社の旧社名が、「インコ社:International Nickel Company」であったことに由来しています。なお厳密には、インコネル®は、スペシャル・メタルズ・コーポレーション社の登録商標ですが、現在は一般名詞化しています。

インコネルの材質と用途

 インコネルの特徴は、①耐熱性が高く、②耐蝕性が高い、③耐酸化性、④高温強度が高い、⑤耐クリープ性という5点が挙げられます。”高温強度が高い”というのは、長時間高温下に晒されても高い強度を維持できるということを指します。したがって、プラント設備や焼却炉、航空機エンジン部品などに使われています。具体的には、ガスタービン、原子炉部品、ロケットエンジン部品などがあります。

 インコネルは難削性の高い金属として有名ですが、一般に、①高温強度が高い、②加工硬化しやすい、③工具材料との親和性が高い、④熱伝導率が低いという4つのうちどれかが当てはまると難削材と呼ばれることが多いです。インコネルの場合、これら4つすべてを満たしているため、特に削りにくいと言えます。

インコネルの種類

 インコネルは、合金元素の含有率によって4種類に分けられます。

①インコネル600

 インコネル600は、耐酸化性に優れており応力腐食割れが起こりにくいのが特徴です。また、耐アルカリ性、耐アンモニア性も非常に高いです。水処理装置や工業炉などに使用されています。

②インコネル625

 インコネル625は、孔食や隙間腐食が起こりにくい材料になります。孔食とは、金属表面に、隙間腐食とは溶接箇所やボルト締結部分など金属板の接合部分に、それぞれ発生する局部腐食のことです。

③インコネル718

 インコネル718について特筆すべきは、極低温下において機械的特性が優れている点、そして焼鈍後の加工性が高い点です。低温環境・高温環境いずれにおいても高い防食性をもち、溶接割れも起きにくい材料です。なお、焼鈍(焼きなまし)とは焼き入れした金属材料を徐冷することで内部応力を除去する熱処理です。

④インコネルX750

 析出硬化による高い硬度、耐酸化性、引張強度が特徴です。

ハステロイとは?材質と用途

 次に、ハステロイについてご紹介します。

ハステロイとは?

 ハステロイ(英:Hastelloy)は、ニッケルにモリブデンやクロムを添加したニッケル超合金です。インコネルと同様にアメリカのヘインズ社(Haynes International, Inc)の登録商標なのですが、現在は一般名詞化しています。

ハステロイの特徴と用途

 ハステロイの特徴は、①耐食性、②耐熱性、③析出硬化型合金である(≒硬度が高いという3点が挙げられます。析出硬化というのは、金属内部の組成・構造と異なる新しい相が形成されることにより硬化を起こす現象のことです。また、耐食性が高いと、通電やめっきなどの表面処理(二次処理)が不要になるので、納期短縮かつ外注費の低減が可能になります。

 ただ、ハステロイを使う際に注意すべきポイントがあります。それは、物理的強度やクリープ強度、疲労強度があまり高くないために構造材には向かないという点です。また、インコネルと同様に難削材であるため、加工も難しいです。

 主な用途としては、その優れた耐食性・耐熱性から、圧力計のダイヤフラム(調整弁)や産業用タービン部品、航空機部品などに利用されています。

ハステロイの種類

 ハステロイは、ニッケル以外のクロムやモリブデン等の含有率によっていくつかの種類に分けられますが、その中から代表的なものを2つご紹介します。

・ハステロイC276

 モリブデンの含有率を上げることにより、孔食や隙間腐食などが起きにくく、さらに高い耐食性を持っています。

・ハステロイC22

 タングステンを添加しており、Ni-Cr-Mo合金において最も耐食性が高い超合金になります。

インコネルとハステロイの違いとは?

 インコネルとハステロイについて、それぞれの材質や用途は理解いただけましたでしょうか。ここまでのまとめとして、よく間違えやすいインコネルとハステロイの共通点と違いについて解説いたします。

 まず、両者に共通しているのは、ニッケル超合金で、優れた耐熱性、耐食性を持っており、その一方で難削性が高く削りにくいという点です。次に両者の違いですが、簡潔に述べると、インコネルは高温環境下での強度、クリープ強度、引張強度に、他方ハステロイは耐食性に、それぞれ特化しているという点になります。インコネルの中にも耐食性に優れた材料がありますが、孔食や隙間腐食などの局部腐食については、より耐食性の高いハステロイを採用すべきです。一方で、上述の通りハステロイはクリープ強度や引張強度はあまり高くありません。高温環境下での機械的特性を重視する場合は、インコネルの方がよいでしょう。

 いずれにしろ、まずは材料の専門家にご相談されることをおすすめいたします。

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