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アルミ合金A5052とは?材質・用途について解説

他のアルミ合金の紹介とA5052との比較

当社のA5052の加工事例

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アルミ合金A5052とは?材質・用途について解説

 まず、A5052についてその材質や用途についてご説明します。

A5052とは?

 最も広く流通しているアルミ合金の一つであるA5052。A5052は、アルミニウムにマグネシウム(Mg)を添加したAl-Mg系(5000系)合金です。アルミ合金には、他にもA2017(ジュラルミン)やA2025(超ジュラルミン)、A7075(超々ジュラルミン)、A5056、A6063(Al-Si系合金)などがあります。

A5052の材質・用途

 一般に、アルミ合金は切削性が高く軽量なのが特徴です。A5052やA5056などの5000系アルミ合金は、マグネシウムを添加していることから耐食性(防錆性)や強度が比較的高いです。ただ、アルミ合金の中にはA7075やA2017のように銅(Cu)を加えて鉄鋼並みの強度を得ているものもありますので、強度を重視する際はA5052は少し不向きかもしれません。A5052の引張強さが260N/mm²であるのに対し、A2017は375N/mm²、そしてA7075は570N/mm²と、かなり強度差があることが分かります。ちなみに、焼き鈍しを施したSS400(一般構造用圧延鋼材)の強度は475N/mm²になります。

 強度については、A2017やA7075のようなジュラルミン系のアルミ合金に劣るということをご説明しましたが、一方で溶接性はA5052の方が優れています。

 また、アルミ合金に共通することですが、耐食性が高いことも大きなメリットの一つです。アルミ合金は表層に酸化被膜を形成しているうえ、アルマイト処理を施すことによって耐食性をさらに向上させることも可能です。アルマイト処理とは、人工的に酸化被膜を生じさせる表面処理の一つで、耐食性だけでなく強度も上げることが可能で、さらにコストも抑えられます。黒アルマイトや白アルマイトなど様々な種類があります。A5052は表面が傷つきやすいという欠点があるため、アルマイト処理が施されることが多いです。マグネシウムの含有量が一定以上になると応力腐食割れ(SCC)の懸念がありますが、A5052の場合はマグネシウムの含有量が3.0%以下なので、特に心配ありません。

 A5052の物理的性質・機械的性質の詳細については下記の表をご覧ください。

融点649℃
密度(比重)2.68g/cm²
ヤング率68GPa
熱伝導率137W/m・K
ブリネル硬さ68HB
引張強さ260N/m㎡
耐力215N/m㎡
せん断強さ145N/m㎡
疲れ強さ125N/m㎡

 最後にA5052の用途ですが、工作機械や自動機などの産業機械、船舶・自動車などの輸送機械部品をはじめ、様々な業界・部品に採用されています。

他のアルミ合金の紹介とA5052との比較

 ここまでA5052の材質や用途について解説してきました。ここからは、A5056やA2017など代表的な他のアルミ合金について一つ一つご紹介しつつ、A5052との比較検討を行います。

A1070(純アルミニウム)

 A1070に代表される1000番台のものは、いずれも純度99%以上の純アルミニウムです。人工的に添加元素を加えているわけではないため強度は低いものの、切削性や導電性・熱伝導性は非常に高いです。また、アルマイト処理を施さない場合の耐食性がアルミ系材料の中で最も優れています。

 A5052と比較すると、強度は劣りますが、その他の物理的・機械的性質については概ねA1070が優れています。ただ、入手しやすさについては当然ですがA5052に軍配が上がります。

A2011・A2017・A2024(Al-Cu-Mg系合金)

 A2011・A2017等が属する2000番台は、マグネシウムや銅が添加されたAl-Cu-Mg系合金になります。マグネシウム・銅の添加により強度が大幅に引き上げられており、その値は鉄鋼材料に匹敵するほどです。ただ、銅を含有することから耐食性はやや劣ります。

 A2017は一般にジュラルミンと呼ばれ、その強度の高さから航空機の機体等に使用されています。A2011はA2017に似た性質をもちますが、鉛とビスマスを添加しているためA2011の方が切削性に優れており、快削ジュラルミンと呼ばれることもあります。そして俗に超ジュラルミンと言われるA2024は、切削性・耐摩耗性が良好であるものの、銅を多く含むことから耐食性が低い材料です。鍛造用材料として広く採用されています。

 これら2000番台のアルミ合金は、A5052と比べ強度が優れていると言えますが、耐食性はA5052の方が優れており、切削性についても基本的にはA5052の方が良好です。

A5056

 しばしばA5052と混同されるA5056ですが、Al-Mg系アルミ合金で両者は非常に似た性質をもちます。切削により表面が綺麗に仕上がるうえ、アルマイト処理に適しているというメリットがあります。一方で、A5056の方がマグネシウムの含有量が多いことから応力腐食割れ(SCC)の懸念があるのと、溶接性はA5052に劣るというデメリットがあります。

A6061

 6000番台は、ケイ素(シリコン)とマグネシウムが添加されたAl-Si-Mg系合金になります。その一つA6061は、ケイ素を含むことから耐食性に優れていますが、強度はあまり高くありません。しかし、T6処理により強度を向上させることが一般的です。T6処理とは、材料に溶体化処理を施してから焼き入れ・焼き戻しをすることによって強度を引き上げる熱処理のことです。

 強度を重視する場合はT6処理後のA6061が、溶接性を重視する場合はA5052がそれぞれおすすめです。

当社のA5052の加工事例

 「精密マシニング加工 量産センター.com」を運営する株式会社三翔精工は、鹿児島県霧島市に生産拠点を置く切削加工メーカーです。当社は、マシニングセンタを用いた精密加工技術×難削材加工技術×量産加工技術の3つの技術と、徹底した品質保証体制により、高品質が求められる半導体製造装置や医療機器、電子機器などの業界のお客様から長年ご支持いただいております。

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